レビュー

3D CAD入門ガイドにピッタリ!始め方からわかりやすい「Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編」の感想・レビュー

初心者がCADを勉強するには、いろいろな方法があります。

大学や専門学校・オンラインスクールなどは、どれもとてもお金がかかります。

そして、短期間に詰め込むので、CADを嫌になる人がとても多いです。

私の大学の友人は、授業時間内ではまったくついていけず、授業時間の前後や、放課後にも作業をして、とても苦戦していて、「もうやりたくない」と言っていたのを覚えています。

そこで私がおすすめするのは、CADの入門書を用いた独学です。

私は、「Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編」という本にとてもお世話になり、CADの基本を習得することができました。

そのため、大企業に入社して初めて使うCADソフトでもすぐに慣れて、CADを使いこなす事ができています。

なぜ入門ガイドを用いた独学がおすすめなのか

CADの学習方法はたくさんあります。

大学や、専門学校、オンラインスクールなどがありますが、どれも相当お金がかかります。

また、短期間でものすごい量の知識を吸収しなければいけません。

そのため、嫌になる人、自分には向いていないと諦める人がとても多く見受けられます。

そこで,入門ガイドを用いた独学をお勧めします。

まず、独学で挑戦してみることで色々な利点があります。

  • 低コストで勉強を始められる
  • マイペースに進めることができる
  • 映像や講義に比べて、置いてけぼり感がない

なぜ、fusion360を使った学習が良いのか

Fusion360は、AutoDeskという会社が提供している高性能な3DCADです。

クラウドベースと言って、重たい作業やデータの保存をクラウド(ネットワーク)上で行います。

そのため、推奨スペックはありますが、高性能なパソコンでなくても、利用することができます。

さらに、以下の方は、1年毎の契約更新で、無料で使い続けることができます。

  • 年間の売上が10万ドル未満のスタートアップ(営利目的)
  • 愛好家(非営利目的)

通常、CADソフトの利用には、年間で数十万から数百万円かかると言われています。

それを無料で使い続けることができるので、このソフトを使わない手はないです。

確かに無償利用なので、有償版と比べて制限されている機能もありますが、以下の機能はしっかり使うことができます。

  • 設計&3Dモデリング
  • データ管理
  • 3Dプリント用のファイル出力
  • 2D図面作成(単一シートの印刷のみに対応)
  • レンダリング(ローカル)

これらの機能があれば、個人的にモデリングを行い3Dプリンターで印刷するなどと言った用途では十分使うことができます。

そして、Fusion360は個人的に利用している方も多いので、色々なサイトやyoutubeでもたくさんのHow-to記事や動画があります。

独学のデメリットとして、使い方に困ったときにすぐに人に聞けないことが挙げられると思います。

Fusion360に関してはネットで調べれば殆どの疑問が解決できるので、独学との相性がとても良いのです。

「Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編」の概要

この本は10個のチャプターで構成されています。

大まかな分類すると以下のようになっています。

Chapter1 基本操作の説明

fusion360のインストール方法や画面の見方、操作方法、データの管理についてを画像やイラストと共に丁寧に説明されています。

この基本操作を理解しないと、CADの操作はどんどんわからなくなるので1つ1つしっかり理解する必要があります。

Chapter2~5 簡単な形状を作成

ペン立てや、コマ、マグカップ、チョコレートの型を作成する手順が紹介されています。

1つの操作ごとに実際の画面と、言葉での説明が書いてあるので、読み込めば誰でも同じものを作ることができると思います。

ここで、よく使う機能などはほとんど触れることができるので、ひとまず、Chapter5までを1つの目標に取り組むのが良いと思います。

チョコレートの型に関しては、イラストデータをダウンロードできるので、それをもとにモデリングをします。

Chapter6~9 応用的なモデリングと図面作成

少し複雑なモデルを作る方法として、モデルのアセンブリやフォームを勉強します。

モデルのアセンブリでは、ロボットのモデルが複数ダウンロードでき,それらをCAD上で組み立てる方法を修得できます。売られているものや機能を持たせたものを作るには複数のパーツを組み合わせる必要があるので、脱初心者の第一歩と言えますね。

フォームでは,fusion360の特徴的な機能を学べます。

CAD上で、モデルを粘土のように引っ張ったり、潰したりして、複雑な形状を作る方法を習得します。

曲線が多く存在し、緩やかな膨らみや丸みののあるリクライニングチェアとミニ四駆のボディーを手順通り進めることで作成することができます。

この機能を習得すると,丸みのある優しい印象を与えるモデルを自由に作れるようになります。

Chapter10〜11 おまけ

ここは,おまけのような扱いになるレンダリングと3Dプリントについて学習します。

レンダリングでは、作ったモデルに擬似的な光を当てて背景を作ることで、まるで現実で撮った写真家のような画像を作ることができます。レンダリングを習得することで、人にそのモデルの使用用途や完成イメージをわかりやすく伝えることができます。

3Dプリントでは,3Dプリンターの仕組みから、モデルを作る上で気をつけることや、作ったモデルのファイルをどうやって3Dプリンターに送るのかと言った具体的な手順が紹介されています。

家庭で実際に物を作ることを前提とした手順が紹介されているので、自身で3Dプリンターを購入することで、作ったモデルを自宅で形にすることができます。

メリット

操作をしている動画が着いてくる

この本の最大のメリットは、すべての制作プロセスを動画にて確認できることです。

本書に記載のURLに訪れることで、動画とモデリング素材のダウンロードリンクが掲載されています。

12本の動画があり、それぞれダウンロード可能です。

写真やイラストだけではわからないという方は、この動画をスマホやタブレットで再生しながら、パソコンで同じ操作をすることで、紹介されているモデルをしっかり作ることができると思います。

イラストや画像が多い

この本はとにかくイラストや画像が多く、前半の簡単なモデルの作成の段階では、言葉を読まなくても操作方法がわかると言ってもよいほど画像もしっかり用意されているので、CAD初心者には最適な本です。

CADの基本を習得できる

「モデリング」「アセンブリ」「フォーム」「レンダリング」「3Dプリント」の基本を習得できます。

CADを用いた仕事ではとくに、モデリングとアセンブリの作業が多いので、その二つの機能を自由に使えるようになると,どんなCADソフトをを仕事で使う際にもなんとなくで操作ができるようになります。つまり、どこでも役に立つCADスキルを習得できるのです。

最後まで実践すると、脱初心者できる

後半戦であるChapter6以降をしっかりと進めると、脱初心者できます。

ベーシック編となっているが、高度なモデリングもあり、400ページ超とかなり充実した内容になっています。

Chapter1〜5の簡単なモデルは、少しいじれば誰でもできると思うので、Chapter6以降で練習するモデルを作れるようになると、自身の作りたいものをほぼ自由に作成できるようになります。

デメリット

先生や質問できる人がいない

当たり前ですが,独学になるので、その場で疑問点ぶつける相手はいません。本に付いている制作映像やインターネット、YouTubeの動画を駆使して、自分で疑問を解決する必要があります。

とことん調べる意欲がないと、途中で挫けてしまうかもしれません。

上の写真のように、You Tubeには「Fusion 360 Japan」という公式アカウントがあり、たくさんの動画が投稿されています。

テキストで学習を進めながら、不足箇所を動画で補いましょう。

演習が足りない

一連の操作方法はすべてしっかり学ぶことができます。しかしながら、それらを自分で使いこなせるようになるには、本を見ずに使えなければいけません。

本の内容を完全に理解した!と思ったら、身近なものを参考にいろいろな機能を使ってモデリングしてみましょう。「あれ、どうやってやるんだっけ?」となったらまた本に振り返り、復習しましょう。

これを繰り返すことで、本の内容は完璧と言えるほど、身につくと思います。

仕事などで使う機会がない機能がある

フォーム、レンダリングに関して、私は会社で使ったことはないですし、使う機会も無いと思います。

業界にもよると思いますが、設計の仕事では、なかなか登場しない作業なので、個人的なレベルアップとしてでしか活用できる場面はないかもしれません。

しかし,3Dプリンターを用いて実際に物を作る場合や、印刷した物を販売する場合には、どちらの機能も使えることで、モデルに付加価値を与え、利益も増やすことができると思います。

「Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編」を読んで変わったこと

Chapter6以降をしっかり学習することで、売り物のようなモデルを作れるようになります。

上の画像のように湾曲した、人間にフィットしそうな椅子なども作れるようになりました。

どうしても、直線だけでできたモデルは、初心者感が抜けず、3Dプリンターで印刷してみても、イマイチなことが多いですし、誰にでも真似されてしまいます。

フォーム機能を駆使すると、まるで売り物かのようなモデルを自在に作れるようになります。

なかなか人が真似できないオリジナリティー溢れるモデリングができるようになります。

まとめ

初心者が、CADの勉強を始めるには、「Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編」を用いて独学をしましょう。

これ一冊でCADの基本から応用まで、重要なことのほぼすべてを学ぶことができます。 

初心者には最初の一冊として、中級者以上には不足分をカバーする一冊として、とても活用できる一冊になっています。

参考書としてとても優秀で、他の書籍よりもまず先にこれを買って間違いはないと思います。

ページ数が400を超えるので、持ち歩きたい方や、通勤・通学時間に読みたい方には、電子書籍版を購入するのも良いと思います。

本の画像や制作プロセスの動画を見ながら、疑問点を解消し、一生使えるCADスキルを習得しましょう。