体験記

残雪の白馬三山縦走 一泊二日の登山体験記

趣味である登山で、最もハードな経験をしました。

長野県と富山県の県境にそびえたつ山々である白馬岳を中心とする白馬三山縦走を行いました。

もともと大雪渓という雪が常に残る場所があり、アイゼンをつけた登山をする場所だと理解はしていました。しかし、想像以上に過酷な道のりが待ち構えていました。

私の感覚では、6月まではまだ残雪箇所があり、アイゼンやピッケルが必需品となるイメージでした。

7月中旬には夏山となり、雪はほとんど残っていないと、今までの経験から決めつけていました。

しかし実際には、大雪渓・小雪渓などの定番ルート箇所以外にも、雪は大量に残っていて、夏道が雪の中にある箇所がたーーーーっくさんありました。

これがとにかく大誤算。

5人で行動していたのですが、何度も雪上をトラバースする羽目になり、落石や滑落の危険と隣合わせのタイミングばかりで気が抜けない登山となりました。

これから同じように、想定と違い疲弊する人が減るように、山行の様子を振り返っていきます。

白馬三山とは何か、読み方は?

白馬三山は、「しろうまさんざん」と読みます。

「はくば」と読みたくなりますが、「しろうま」なんです。

三山は、そのままの意味で、3つの山をさしています。

  • 白馬岳(2932m)
  • 杓子岳(2812m)
  • 白馬鑓ヶ岳(2903m)

この3つの山の総称が”白馬三山”というわけです。

白馬岳登山口までのマイカーについて

私は、大雪渓を登りたかったので、猿倉山荘の下にある駐車場を利用しました。

Googleでは””猿倉駐車場”と検索すると出てきます。

ここで注意なのですが、「猿倉」という地名は新潟県にもあります。

糸魚川市に猿倉という地名があり、都心から向かうと途中まで道が一緒なので、よく見ないとそっちを選んでしまう可能性があります。

↑私が実際にやったミスです。。。

不安な方は、マップコード(535 276 223*60)を利用すると安心です。

駐車場の台数は200台ほどで、24時間無料で出し入れも自由です。

白馬三山縦走(白馬岳)の登山ルートとその難易度

YAMAPより引用

白馬三山縦走を行うルートとして考えられるのは、

  • 猿倉から出発し、三山をめぐり猿倉に戻る周回コース
  • 猿倉から三山をめぐり、栂池高原に抜けるルート(逆回りも含む)

この2パターンに限られると思います。

テント泊などをせず、日帰りで回る場合は、猿倉からのピストンコースもありかと思いますが、大荷物の場合は、滑落・落石での事故の可能性が高まるので、避けるべきだと思います。

私はマイカーでのアクセスだったので、猿倉に戻ってくる周回コースを選択しました。

このルート自体は、とても有名なルートなのですが、時期が早いと残雪が多く人気がないので、超上級者向けのルートと化します。

私は、これに挑んでしまったというわけです。

また、このルートは、2021年は閉鎖していたこともあり、YAMAP上では「通行禁止」という表記がされています。

しかし、しっかりと通行可の看板もあります。

なんで「ヤリ」とカタカナで表記したのか・・

一緒に行った男性人みんなで、突っ込んでいました。

鑓温泉は7/16日から営業開始で、私が通った際は営業準備中でした。

温泉は営業していて、下山途中に入る事ができます。

体力や気力的に自信のない方は、残雪期に決してこのルートを選んでは行けません。

栂池高原に抜けるルートを選択して、公共交通機関を利用して、マイカーに帰還する計画をおすすめします。

それでは、実際に私が行った山行を少しずつ振り返っていきましょう。

猿倉から白馬尻小屋まで

猿倉登山口からよく見る上の写真の場所(白馬尻小屋)までは、少し早いペースで1時間でした。

この区間は、比較的平坦で、ウォーミングアップにはちょうどよい区間です。

木の橋を渡ったり

石段をのぼるような道になっています。

週末に行ったのですが、この白馬尻小屋では30人弱が休憩していたと思います。

皆さんここで休憩されているので、「ようこそ大雪渓へ」の看板前での記念写真を人に頼無事ができると思います。

ここから15分ほど歩くと雪渓が始まり休憩じづらくなるので、ここで補給食などをチャージしてしっかり休憩したほうが良いと思います。

白馬尻小屋から岩室跡まで

白馬尻小屋から15分ほど歩くと、大雪渓が現れます。

ほとんどが雪渓歩きと思いましょう。

1.5時間は、雪の上をアイゼンを付けて歩行します。

途中に、雪のない夏道があり、アイゼンを外すタイミングもあります。

写真のように、ベンガラの紅いラインに沿って進んでいきます。

ベンガラは、土中の鉄が酸化した『酸化第二鉄』を主成分として、古くから使われている赤色の無機顔料らしいです。

耐熱性・耐水性・耐光性という性質があることから雪上でも使われているのかと思います。

大雪渓では、人がたくさんいるので、道迷いの可能性は低いですが、ガスなどで視界不良の際は、道迷い・落石での事故が十分に考えられます。天気を選んで登山をしましょう。

岩室跡から白馬頂上宿舎まで

あと一息で、頂上宿舎です。

この区間は、傾斜が結構急でしかもガレているので、ゴール間近だというのに、かなり心を折られます。

後ろを振り返ると、杓子岳がそびえたっています。

とてもかっこいいですよね。

白馬岳は雪に覆われ穏やかな様相をしていますが、杓子岳は荒々しい男性的な山のように思いました。

景色を楽しみながら進んでいくと、頂上宿舎に到着します。

”村営”ってすごいですよね。

3000m近い場所の山小屋運営を村がやっていると思うと、白馬岳が村自体の誇りのようなものだと想像できます。

私は、この頂上宿舎でテント泊したので、一日目のゴールです。

あとは手ぶらで、白馬岳山頂を見に行きこの日の工程は終了です。

白馬岳から見た旭岳がとてもきれいだったことが印象に残っています。

頂上宿舎のテント場は山々に囲まれた窪地にあり、夜には50張ほどあったと思います。

窪地のため、景観がないのは残念でしたが、星空や雲の動きは楽しむことができました。

頂上宿舎から鑓温泉分岐まで

写真の右下が白馬山荘でヘリが荷物を運搬しています。

この日は、左真ん中の杓子岳を通り、一番上にある白馬鑓ヶ岳を通り下山します。

この写真からも分かる通り、降って上ってを二回やります。

こういうルートでは、「あ~、せっかく登ったのに」と毎回思います。

そんな事が吹っ飛ぶほど、この縦走路は最高です。

振り返ると、常に白馬岳がいて、そこから歩いた道が常に見えています。

雪、緑、雲、青空、山頂が視界の中に混在し、普段は見れない景色を常に感じることができます。

杓子岳や白馬鑓ヶ岳直下はかなりの急登でめちゃくちゃ苦しいですが、登ったあとの景色は格別です。

そしてそして、最高な登山はここまでです。

ここから鑓温泉を通過し、猿倉に行くまでのルートがとてもとてもハードなのです。

鑓温泉分岐から鑓温泉まで

100mほど下ると、すぐに雪渓が出てきます。

ここは距離は短いものの、結構な傾斜があります。

中央のベンガラに沿って進みます。

軽アイゼンを装着していましたが、少し心もとないです。

ピッケルやストックも携帯しておくと安心です。

そこから、しばらく夏道が続き、鎖場・梯子・沢が連続し、”上級者コース”と感じるルートを通ります。

雪や沢で靴裏が濡れているため、滑りやすく注意が必要です。

鑓温泉が見えたと思うとまた雪渓が現れます。

右下にある雪渓を越えなければ鑓温泉にはいけません。

本来は、夏道では、雪渓に降りる必要はないのですが、夏道は雪の下のためまたもや雪渓歩きです。

紅いベンガラに沿って歩いている途中の写真です。

上から水が流れ落ち、雪が割れているのが見えるでしょうか。

この雪渓の下には、川が流れているのです。

あたりを見渡すと、案の定、雪渓の下がえぐれ空洞となり川が流れていることがわかります。ここに落ちたら一巻の終わりです。

指定されたルートも緊張感を持ち通行しました。

それらを超えてやっと、鑓温泉に到着です。

時間の余裕がなかったので、写真右下の足湯だけ入らせてもらい鑓温泉をあとにしました。

鑓温泉から猿倉山荘

個人的に一番大変だったのは、この区間です。

ここまでは、冬道になっても夏道がすぐ見える位置にあり、道の心配はありませんでした。

ここから先は、雪の範囲が広すぎて、夏道も冬道も場所が分かりづらく、雪の上をルートを探しながら歩く必要があります。

雪上のピンクマーカーもかなり少なく、ルートを開拓するような感覚でした。

雪上を歩いているときは、上の写真のような景色で、どこから落石があるかわからない状況です。

標高を下げながら白馬鑓ヶ岳の下から杓子岳の下を通り猿倉へ向かうので、雪上のトラバースの連続です。

杓子沢のトラバースが最も危険でした。上の写真の奥から雪・土・雪となっていて、1つ目の雪部分の傾斜がスキー場の上級者コースよりも急で直立が厳しいほどで、落石に襲われ、危うく怪我をするところでした。

足場を固めて滑り落ちないようにしながらのトラバースなので、全身を使い疲労もたまります。

小日向山の近くになると雪は消え、ひたすら下る道になります。

ここでは、それまでの披露から勝手に歩くロボットのようにひたすら下山していきます。

上では、通行可と書いてありましたが、猿倉付近での合流地点では、ロープで閉鎖されていました。

上りでの利用は規制しているのでしょうか。

鑓温泉から5時間耐え抜いて、ようやく猿倉へと帰ってきました。

二日目の行動時間は、12時間30分ほどでルートも険しく過去最高に激しい下山となりました。

最後に

一泊二日で行った白馬三山縦走の山行を写真とともに紹介してきました。

8月になると、下山で使ったルートの夏道にある雪は消えて雪の上を歩く頻度は2割程度になるのだと思います。

半月の差でここまで雪が残っていることを知り、とても勉強になりました。

YAMAPで同じルートを歩いた方のログなども確認していましたが、過酷さは一切なく「温泉が良かった」等の良い感想が多かったのです。

その方々にとっては冬道は想定通りで辛くもなんともない大ベテランだったのだと後になってわかったのでした。

これからは、山行にしたログの方が冬山登山をやる人かどうかを確認しようかと思います。

みなさんも、ルート・日程の選択には細心の注意を払い行うようにしましょう。

RELATED POST